土生八幡神社の四つ太鼓

月の道成寺の開演を待つ間に、地域のお祭りに出会う。
和歌山県日高川町の土生八幡神社の例大祭の宵宮で、獅子舞と、四つ太鼓の屋台と出会った。

矛とささらを手にし、頭には鳥兜をかぶったオニと、獅子。
個人宅の前にござを敷いて、太鼓と笛に合わせ、獅子舞を披露する。

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こちらは四つ太鼓の屋台。
腰巻きと法被姿の男たちが、屋台をかつぐ。

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屋台の上には4人の化粧をした男の子が乗り、太鼓を打つ。
男の子たちの化粧が印象的で、違う世界に迷い込んだような不思議な感じ。

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月の道成寺

先週末の土曜日、紀州道成寺へ、黒川能下座による能『鐘巻』の奉納を観に行って来た。

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安珍と焼けた鐘を埋めたと伝えられる安珍塚と、三重塔。

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黒川能の一行は、前日に、伊勢に奉納のために訪問し、翌日に、下座は紀州道成寺、上座は京都の金剛能楽堂に演能のために訪れたもよう。
ちょうどこの日は満月。
道成寺の境内で、月を愛でながら『道成寺』の原型である『鐘巻』を観る。
何が起こるか?想像しただけで、ワクワク、ドキドキしてくる。

…が、曇りがちな天気で、雨がポツポツ。
境内の舞台は、無惨にも目の前で、撤収されていった。無念。

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中学校の体育館での演能となる。
体育館の舞台とはいえ、たっぷり2時間の幽玄の世界に、しばしうっとり。
蛇体になった時の真蛇の面が、むちゃ怖かった。

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演能後は、王祇祭で見たように、舞台に装束を広げての片付けが始まった。

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ほぼ丸1日の強行軍。
境内で観ることができなかったのは、とても残念だったけど、道成寺の絵解きも聞けたし、安くて美味しいミカンも買えたし、何よりも能を堪能し、大満足。
ご一緒してくださったみなさま、ありがとう〜♡


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興福寺塔影能『谷行』

初めて、興福寺塔影能へ行く。
塔影能とは、東金堂の本尊・薬師如来に能狂言を奉納する恒例行事で、毎年、興福寺境内で開催される。
残念ながら今回は、雨が降る確立が高く、奈良文化会館での演能となった。

『谷行』は、初めて観る曲。
ワキ方と子方が活躍する曲で、一言でいうと、スペクタルな劇的な能。
ワキは大好きな宝生閑師。子方はお孫さんの宝生尚哉くん。宝生欣哉さんも出ているので、三代揃いぶみ。
宝生閑師、お元気になられて良かった。
宝生尚哉くんの演ずる松若が、峰入りした後に病気になり、阿闍梨役の宝生閑師の膝枕で休む場面。
谷行を行わなければならず、別れを惜しむ場面。
ホロリとさせられた。

観世流には、後場に役行者が登場しないのだけれども、今回は味方健先生が、役行者役でご出演。
何よりそれが楽しみだった。
健先生、むっちゃカッチョ良かった
後場のシテは、やはり役行者ですよ。
面は、片山家の鷲鼻悪尉であると、健先生に後日にお聞きした。

谷行(たにこう)とは、「修験者が峰入りの時、同行の者に病人があれば、掟によって谷に突き落として行くこと」と、日本国語大辞典にもあるけれど、実際にそういう掟があるのかしらと気になってしょうがない。

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片山九郎右衛門講演会能『姨捨』

今日は、片山九郎右衛門講演会能。

能『姨捨』を観るのは、今回で4回目。
2時間半余りという演能時間だったが、そんな長さを感じさせずに、あっと終わってしまった。

前シテの唐織は、とても上品で美しく、凛とした女性。
後シテは、白一色で、老女といった雰囲気ではなく、透明で崇高な感じ。
そして静かな舞は、恨みや悲しみを超越して、月と同化してみせた。

好きな囃子の先生方だったので、心地よく耳に残り至福。


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9月の観能メモ

昨年、夫が倒れてから、能を観に行く回数が、極端に減ってしまった。
仕事量を減らしたので、おこづかいが減ったのが大きな原因(涙)

が、今月は誕生日月でもあるので、ちょこっと奮発。
土日ごと、能楽堂へ、いそいそと通うことができた。
でも一休寺能、御香宮神能をあきらめたのは、とっても残念。

14日 片山定期能 『井筒』『鉄輪』
15日 林定期能 『女郎花』『松風』『項羽』
21日 四季彩能 『敦盛』『山姥』
22日 京都観世例会 『小督』『三井寺』『天鼓』
26日 三寿会

味方團師の『松風』が、私の中での今月のピカイチ。

今日の石井流大鼓方谷口正壽師のお社中の三寿会は、能つながりのお友達がたくさん出ていらしたので、まる1日堪能できて、良い刺激となった。
素人の囃子の舞台を拝見すると、大小鼓太鼓は、掛け声も音楽的な重要なパートであることがよくわかる。
掛け声がビシッと決まっている人は、カッコいいし、気持ち良い。
稽古のとき、師匠の掛け声に近づくように気をつけてみたい。

そして明日は、片山九郎右衛門後援会『姨捨』、楽しみ。
詞章を読みながら寝よう。

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そわポン酢

自分の笛の会の前日、幸流小鼓方曽和尚靖先生の社中会へ伺った。
私は大倉流の小鼓を習っているが、京都では幸流が主流。
能を通じて知合ったお友達が舞台の立った。その鼓の音は、とってもステキに響き、自分もがんばろうという活力をおすそわけしてもらえた気分。黒紋付の玄人に挟まれ、白地のおキモノというのも、凛としてかっちょ良い。

大勢のお弟子さんがいらっしゃるので、能楽囃子好きには、まる1日たっぷりと楽しめて、どっぷりと浸れる。
私は次の日の会の準備があるので、半日で失礼した。

曽和家の会で楽しみなのは、人を楽しませるおもてなし。
以前の会で、曽和博朗先生のイラスト(メガネをかけているのがポイント)が描かれたお酒があった。
今回は、なんと尚靖先生が描かれた「そわポン酢」!
もちろんゲットして、お酒と一緒に並べました。
もったいなくて、どちらも封をきれない(笑)

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社中の会のお楽しみは、お茶の接待。
能友とお茶をよばれたのだが、その時の茶碗のおしゃれだったこと。
見込みが鼓の革をあしらい、胴は鼓胴をかたどり季節の花をあしらっている。
写真のプチブーケは、来場者へのプレゼント。

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そうそう、先日、京都市上京区民に無料配布されている『上京史蹟と文化』(2013 VOL.45 上京区民ふれあい事業実行委員会発行)に、曽和博朗先生のインタビュー記事が掲載されていました。
上京区役所のWEBサイトでも読めます→http://kamigyo.sakura.ne.jp/tokushu/zukan/post-26.html

※下書きのまま、アップするのを忘れていた記事。とほほ。
先週末、鎌倉へ旅行してきたので、その記事の前にアップしておこう。

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明建神社薪能『くるす桜』

行ってみたかった明建神社での薪能『くるす桜』に、今年はやっと行くことができた。
神社の舞台での奉納能は、場所・空間という最高のシチュエーション。
加えて神社ゆかりの人物が主人公とくれば、趣も倍増。
目に見えない何かがそこにいるというような、幻想的な一夜を過ごさせていただいた。

能『くるす桜』は、明建神社(岐阜県郡上市大和町)の例祭日8月7日に、薪能として毎年奉納されている復曲能。
復曲改作に関わられたのは、伝書の会でお教えていただいている能楽師シテ方味方健先生。
昭和63年からはじまり、今年で26回目となる。
今年の演目は、連歌奉納、地元の小学生による連吟『くるす桜』、能『田村』、火入之式、狂言『成上り』、仕舞に続いて能『くるす桜』。

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能『くるす桜』は、中世にこの地を治めた東氏の9代目東常縁(とうのつねより)が、妙見宮の桜並木にさしかかった旅の僧の夢に現れるお話。

神仏分離で明建神社と名前を変えたが、もとは妙見宮で、東氏が下総国から郡上へ入部した際に、千葉氏の氏神である妙見菩薩を勧請した(東氏は、千葉氏の一族)。
「くるす桜」とは、妙見宮の桜並木。
東常縁は、連歌師の宗祇に古今伝授を行、能の中でも宗祇との連歌のやりとりが盛り込まれている。
間狂言が庄屋と連歌師のやりとりで、面白かった。

『未刊謡曲集 二十二』に、京都下村家旧蔵本(天理図書館蔵)の「栗栖桜」、『未刊謡曲集 十二』に、伊達家旧蔵本(宮城県立図書館蔵)の「常縁」が翻刻されている。
『未刊謡曲集 続四』(古典文庫)には、味方健先生が復曲改作上演された詞章と、その底本となった村瀬本が翻刻されている。特に解題に、改作復曲にあたっての味方先生の要点メモも載っているので、ぜひ読んでいただきたい。

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神社の隣は、古今伝授の里フィールドミュージアムとして地域の活動拠点となっている。
施設の中の東氏記念館には、東常縁と東氏史料、古文書類、東氏館跡の出土品、篠脇城の模型などが展示されている。
神社の対岸は、東氏の篠脇山城で、その麓は東氏館跡庭園として、発掘された庭園遺構が整備復元されている。
篠脇城は、中世の山城で、城郭を囲む放射線状の竪堀が面白かった(恐がりのワタシでも、行きは20分弱、帰りは10分くらい。急斜面なので、運動靴は必要)。

薪能の前に、東氏記念館を見学し、篠脇城へ登ってみると、さらに楽しめるかも。

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参考文献:『薪能くるす桜 20周年記念誌』(薪能くるす桜実行委員会)、『古今伝授の里紀行』(古今伝授の里フィールドミュージアム)

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春宵一刻値千金ー田村

6月の京都観世例会で、能「田村」を観る。

前場、シテの花守り童子と、ワキの旅の僧の、問答が心地よかった。
あんな間合いで誰かとコミュニュケーションできたら、すっごく楽しいだろうなあ。。

途中、大鼓の床几が壊れた。
だけど何事も無かったように、大鼓の井林久登師は、床に座って打ち続けられ、後見が別の床几を持ってきて差し替える。
びっくりすると同時に、お見事と心の中で大喝采。

能「田村」
シテ:深野貴彦
ワキ:有松遼一
ワキツレ:小林・岡充
地頭:浦田保浩
間:善竹隆平
笛:左鴻泰弘
小鼓:伊吹吉博
大鼓:井林久登

清水寺は花盛り。月の晩に行ってみたいな。(2011年撮影)

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坂上田村麻呂を祀る田村堂。観世流能では田村丸(たむらまる)と言っている。(2011年撮影)

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※下書きのままアップするの忘れていたので、日が前後してしまった。

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第1回宗一郎の会「船弁慶」事前講座へ行って来た

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来る2013年7月6日(土)、京都観世会館で、第1回宗一郎の会が開催される。
その事前講座「船弁慶」鑑賞の手引に行ってきた。

会場は、烏丸三条上ルの十松屋さんのたちばな舞台。
舞台は烏丸通りに面する3階にあり、ガラス窓の向こうは新風館の建物。
番組の見方からはじまり、仕舞、別習一調の解説、そして船弁慶のあらすじ・小書について、所作、舞、謡を取り入れながら、順を追って解説された。
宗一郎師は、お話がお上手で、ついついと引き込まれる。
長刀や、静烏帽子・黒頭を、希望者には、つけさせていただいた。
私は、もちろん静烏帽子をつけさせていただきましたとも!(笑)

第1回宗一郎の会の番組は、仕舞に「屋島」「吉野静」「碇潜」、別習一調「勧進帳」、能「船弁慶」。
仕舞、別習一調のそれぞれの主人公たち義経・静・知盛・弁慶が、そろって登場するのが能「船弁慶」。
個人の会ならではの、番組の取り合わせ。
小書も、舟唄、重前後替がついて、見どころ多し。

カッチョ良すぎの、林宗一郎師。
義経役は、私の一押し若手である樹下千慧くん♪

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そしてちゃっかりツーショット。
自分で言うのもヘンだけど、すっごく嬉しそうなワタシ。
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京都薪能

少しさかのぼるが、今年の京都薪能で、金剛流能「大江山」が演じられた。
その名のとおり、大江山の酒呑童子のお話。
シテは酒呑童子なのだけれど、ワキの頼光一行が主人公で、ワキ方大活躍な能。

実は、京都薪能に先立って、ワキ方の原大師の、大江山のワークショップに参加していたので、応援気分満々。
もちろん正面一番前にて鑑賞させていただきましたとも。

なんとも激しい切り組みが、カッチョ良い。切合能、大好き♪
最後に刺し殺された酒呑童子が、宙返りしたのには、びっくりして、あっと声をあげそうになった。

写真は、ワークショップにて、つくり山伏の装束を体験させていただいている途中。
嬉しくて満面の笑顔。

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数年前、ダンナさんに、国立能楽堂から原稿依頼があった。
大江山について寄稿しはったのだけれど、そのころの私は、能に全く興味がなかった。
そのパンフレットをみると、行きたかった〜〜〜〜〜と思うことしきり。
平成15年2月の定例能。観世流「大江山」替之型。シテが梅若六郎(今の玄祥さん)、ワキが宝生閑で、ワキツレが6人!

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