※近しい親戚が倒れ介護のためブログを中断いたしましたが、幸に快方へと向かいましたので再開いたします。
今年の2月に伺った静岡県水窪町の「観音様のまつり」、通称「西浦(にしうれ)田楽」の見学記の続きです。
最後の見学記の前に、西浦田楽について知るために私が参考にした本を紹介いたします。
◆まずは手に入り易いものから。
書籍
吉川祐子『西浦田楽の民俗文化論』(岩田書院 2012)
西浦田楽を長年フィールドワークとしてきた著者の集大成。
西浦の歴史・民俗・芸能、西浦田楽の研究史を、これ1冊で把握させていただきました。付録の資料の翻刻も貴重。ただし学術書であるので、一般読者向きとは言い難く、ぜひとも図書館に常備してもらいたいです。
『西浦の田楽 鑑賞の手引』(水窪町教育委員会)
山路興造「遠州西浦の田楽」(『民俗文化研究所 紀要』第1集所収 1964)をベースとして、見学者のお供として、まとめられた小冊子。西浦田楽を見学に行く際には、ぜひ購入すべし。駅からのシャトルバスの出発点にあたる、水窪町の文化センターで売っています。
DVD
1『西浦の田楽』(監修:本田安次 水窪町教育委員会発行 1998)
2『西浦の田楽と能衆』(1監修:吉川祐子 水窪町教育委員会発行 1998)
2巻出ていますが、1は、西浦田楽の芸能を中心としてまとめたもの、2は、芸能だけではなく神事を含めたものとなっています。簡単な小冊子もついています。小冊子は2巻とも同じ内容。
◆手に入りにくいもの。
早川孝太郎「西浦田楽」(『早川孝太郎全集』第2巻所収 1972)
西浦田楽を世に広く紹介したのは早川孝太郎先生。名著『花祭』の後編の田楽で報告されています。早川孝太郎全集に入っているので、図書館に行けば読めます。
余談ですが、先日芸能史研究会の大会へ行ってきました。そこで渋沢敬三の記録した花祭の映像に、『花祭』を上梓したばかりの早川孝太郎が少しだけ映っていました。はにかむ笑顔がステキでした。
山路興造「遠州西浦の田楽」(『民俗文化研究所 紀要』第1集所収 1964)
西浦田楽見学から帰ってから、古書店よりまず取り寄せたのだけど、これを読んでから見学に行くべきだったと後悔。
私的には、芸能史研究の第一人者である山路興造先生の原点をみたことに感動。なぜなら、先生が早稲大学大学院生時代のお仕事なんですもの!
須藤功『西浦のまつり』(未来社 1970)
大型の写真集。モノクロで、すごい迫力。写真だけではなく、詳細な解説が読み易く、ぜひ手に取って欲しい1冊。グログの写真にモノクロが多いのは、この本の影響かも。
「西浦田楽」(『浜松楽器博物館 フィールドワーク報告書』Vol.1所収 浜松楽器博物館 1998年)
楽器の博物館の報告書なので、田楽に使用される楽器、音楽的な考察が主な目的。音を譜面におとしているので、音楽的興味のある方にはおススメ。実はこの報告書、某大学で、ご自由にお持ち帰りくださいコーナーから発掘した1冊。ラッキー♪
ビデオブック『大系日本歴史と芸能』第4巻「音と映像と文字による 中世の祭礼」(平凡社・ビクター 1991)
4巻の一部分に紹介されています。この巻をみていると、西浦田楽が、確かに中世のひとこまにあたるのを実感します。このビデオブックは、大きな図書館で所蔵されていることが多いです。全14巻とも見応えがありますのでおススメ。
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