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忠霊@日本伝統音楽研究センター

昨年の後期、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターのでんおん連続講座「能をよりよく鑑賞するための音楽演出面のポイント」(講師:藤田隆則先生)を受講した。とっても面白くて、お友達もたくさんできた。藤田先生は、講座終了後にも、有志を募り、自主ゼミみたいな形で、補講を続けてくださった。今日はその3回目の補講日で最終回。
(でんおん連続講座は、2010年5月からも始まります!)

今回の補講は、本邦初公開という貴重な音源の鑑賞会。
レコード収集家である亀村正章氏のコレクションから、野村得庵の「羽衣」「猩々」と「忠霊」を聴く。
野村得庵とは、明治から昭和前期の実業家。野村財閥を築いた。茶、能に造詣が深く、能を観世左近、観世銕之丞(華雪)、片山博通に習っていたという。
聴かせていただいたのは、野村得庵が自分の演能を記録したレコード。昭和13〜17年くらいに吹き込まれたのではないかということだ。亀村氏が収集された野村得庵翁のレコードは全部で54枚。それらのレコードを、デジタル化された。
レコードと一口に言っても、初めて見たレコード。普通、私が知っているレコードとは、まったく違うもの。アルマイト製だそうだ。
※亀村正章氏は、京都放送株式会社(現在のKBS)で、ラジオ・テレビ音楽番組の企画制作に携わってこられ、退職後、収集されたレコードの整理と研究を続けられている。今後の研究成果が楽しみ。

さて「忠霊」は、囃子も入ったライブ録音。野村得庵伝の趣味篇に載る番組から、シテ:野村得庵 ツレ:片山博通 ワキ:福王弥三郎 市場豊久 水野知信 笛:森田光次 小鼓:竹村龍之助 大鼓:谷口喜代三 太鼓:前川光隆ではないかと推測されている。さすがに亀村氏の技術で、最低限のノイズで、ストレスなく聴くことができる。
シテが野村得庵ということなのだけど、素人なのにとってもお上手だと思う。神舞の笛の音、とても高音で、誰かに似ている気がするんだけれど、誰だろう?

藤田先生は、この貴重な音源を、能楽師の方々に聴いていただき、演者を特定したいと考えていらっしゃる。その機会が早く実現することを、願って止まない。

「忠霊」という能は、『未刊謡曲集 続9』の田中允氏の解題によると、
雑誌『観世』昭和16年11月号所載の、観世銕之丞(後の華雪)師の「新作謡曲忠霊について」によると、その年の春、大槻十三・坂井音次郎・武田太加志・浅見眞健の四氏が委員となって、聖戦の楯となった忠霊に対する国民的感謝の年から作られた曲とある。つまりは戦時下の国民の忠誠心を能によって表現しようと試みられた時局ものである
とあった。

能楽囃子体系の特典CDの中に、「忠霊」の抄録が収録されている。昭和17年に発売された大日本忠霊顕彰会による観世会委員会委嘱作品。
忠霊(1)ワキ:梅若万三郎
忠霊(4)シテ:観世銕之丞 ツレ:観世左近

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